手形割引の計算方法
このページでは手形割引の目安や計算方法をご紹介します。
手形の割引に必要となる割引料の目安や傾向
手形割引で支払う割引料は支払期日からの逆算による金利分に相当します。
金融機関や専門業者によって料率は異なりますが、ネットで見つけた情報によると金融機関の割引率は以下のような目安になるようです。
手形割引率(年率) | |
---|---|
都市銀行 | 1.5~3.0% |
普通銀行 | 2.0~3.5% |
信用金庫 | 2.5~4.5% |
信用組合 | 3.5~5.5% |
一般的に金融機関では手形割引を一種の融資としているので、割引率は手形自体の信用ではなく、手形の持込人の信用によって決まるもの。そのため、多くの中小企業では、審査に通らず、割引を受けられない状態となっています。
一方、手形割引専門業者では手形の振出人の信用状況をチェックして割引の可否を検討する傾向があります。割引率は約3.0~20.0%と多少大きくなりますが、取引人の手形を審査した上で最適な割引を行うため、銀行よりもはるかに高い確率で、現金化をしてくれるのです。
手形割引の計算方法
手形割引を利用するにあたり、まず頭に入れて頂きたいのが以下の公式です。
これを把握しておけば、金融機関・業者利用時に、支払期日までどれほどの割引料がかかるか把握できます。
手形割引料=手形額面金額×支払期日前日数÷365日×手形割引率(%)
※公式から割引料を算出する場合、利用する金融機関・業者の休業日を調べておきましょう。指定された支払期日が休業日だと、翌営業日までの日数が加算されるからです。
正確な割引率を求めるために、営業日情報を忘れずにチェックしてください。
割引料とは
手形の割引料は金融機関・業者が設けている手数料みたいなもの。支払期日よりも早く換金した場合に生じます。
なぜ期日前に換金すると割引料が生じるかというと、手形の発行者が、まだ金融機関・業者への支払いを済ませていないからです。
そのため、実質お金を借りていることになるので、割引料が発生するのです。換金時に、高額な割引料を支払わないために、割引料計算を覚えておきましょう。
支払金利には種類がある
ちなみに、手形割引の支払金利は、表面金利と実質金利の2種類あります。
- 表面金利:手形割引料を算出したときに明らかとなる手形割引率
- 実質金利:手形割引した後に受取金額から逆算した金利
割引依頼人として手形を利用する場合、実質金利が重要となります。算出するなら、表面金利だけでなく実質金利まで計算して利用する金融機関・専門業者を決めましょう。
手形割引の手数料とは?
手形割引を行う際には、割引人となる金融機関に手数料を支払う必要があります。また手形は融資とみなされるため金利も課されることとなり、これを「手形割引料」といいます。この手数量と金利を足したものを「手形割引手数料」といいます。
手形割引の手数料の種類とは?
手形割引の手数料には大きく分けて2種類あり、その中で更に分かれています。詳しくご紹介します。
必ずかかる手数料
・手形割引料
手形を期日前に現金化するには、期日までの日数分の利息が必要です。この金利が手形割引料と呼ばれています。
・取立料
手形は期日前に手形交換所へと出されることになります。その時に手形1枚につき取立料が発生します。料金は600~1,000円程です。これは金融機関も手形割引業者も同じで、ほど同程度の取立料が発生します。
一部の手形割引業者でかかる費用
・手形割引約定書印紙代
金融機関で初めて手形割引を取引する際に、銀行取引約定書を作ります。それと同じものを作る手形割引業者もあります。その場合、約定書印紙代として4,000円が必要となります。
・配達料
遠方を回って手形と交換に手取り金額を渡す際に、配達料として高速代やガソリン代などを徴求する業者もあります。
・事務手数料
手形割引に伴う事務業務に対する手数料となります。手形金額の1%程度を徴求されることが多いです。しかし手形割引業者も強壮が激しくなってきているため、ほとんどの業者は徴求していないのが現状です。
・調査料
手形の振出企業の信用を調査するための手数料です。手形金額の1%程度を徴求されます。しかしこちらも事務手数料と同じ理由でほとんどの業者は徴求していません。
・保証料
手形が不渡りになってしまった際に、保証として手形割引業者が子会社に保証契約を行ったときの手数料です。こちらも現在ではほぼ無いといっていいでしょう。
手形割引手数料の計算方法は?
では手数料で必ず支払わなければいけない手形割引手数料の計算方法をご紹介します。
手形額面金額×手形割引率×支払い期日までの日数÷365日=手形割引料
手形割引料+取立手数料=手形割引手数料
これが主な計算方法です。
単語の説明
上記の計算方法では手数料とは別に手形割引ならではの単語が登場しましたので、解説いたします。
・手形額面金額
手形に記載された金額のことです。ここに記載された金額が、期日になったら支払われることになります。ただし実際に受け取れる金額は、手形額面金額から手形割引手数料を引いたものになります。
・手形割引率
手形割引人に対して支払う金利のことです。この割引率は手形割引依頼人と割引人の間で決めらます。この手数料は多くの場合、手形割引を依頼した日を基準とした「年利」として計算されます。
・支払い期日までの日数
手形割引率は年利で計算されるので、手形が決済されるまでの期間が1年未満の場合は、日割で計算されることになります。この日割りを行う際には、手形の支払い期限と支払い先の休業日です。もし重なってしまっていた場合は、翌営業日までの日数をプラスします。
・取立手数料
手形交換の際の手数料等が含まれており、この手数料は割引人によって異なります。そのため事前にチェックしておきましょう。660円や1,100円のところが多くなっています。
手形割引の計算例をご紹介
では実際に手形割引を行う際の計算例をご紹介します。分かりやすいように手形額面金額を1,000,000円、手形割引率を5%、取立手数料を660円で計算いたします。
・手形額面金額:1,000,000円
・手形割引率:5%
・取立手数料:660円
・支払い期日までの日数:90日
1,000,000×0.05×90×365=12,328円(小数点以下切り捨て)
12,328円+660円=12,988円
上記の場合、手形割引手数料は12,988円となりました。実際に受け取る金額はこの金額を引いた額になりますので、1,000,000円-12,988円=987,012円となります。
手形割引を申し込む際には手数料の確認も必要
手形割引を扱う業者によって取立手数料などの手数料が違う場合もあります。そのため申し込む前には必ず手数料の確認を行いましょう。具体的には以下のことを行うと安心です。
・見積書をもらう
業者や金融機関に申し込む際には、割引を行う日(予定日)に受け取れる金額がはっきりと分かる見積書をもらいます。見積書には手形割引料、取立料、その他の手数料の金額などがはっきりと明示されています。もしはっきりと分からないようになっていたら注意が必要です。
・事前説明書をもらう
賃金業法により、手形割引を行う際には必ず事前説明書を発行しなければいけません。その説明書にて割引料の計算式と、万が一不渡りになった場合も対処法を説明しています。また実際に口頭でも説明し、その説明をうけたことに対するサインをする決まりとなっています。この事前説明書にも、手数料の項目が記載されています。
・現行振込手数料もチェック
業者によっては手取り金額を送金する際の手数料を負担する側が違ってきます。業者負担なのか受け取る側が負担するのかしっかりと確認しましょう。
まとめ
手形割引を行う際には、様々な手数料が発生します。必ず払わなければいけないのが手形割引手数料で、これは計算式によって計算することが可能です。また見積書にもしっかりと記載されますので、申し込む際には目を通しておくことが必要です。
それでは早速、各社に見積りをお願いしてみましょう。