約束手形と為替手形の違いとは
手形は簡単に言えば未来の「〇月〇日に〇〇円のお金を支払います」と約束する有価証券です。手形はどの会社でも振り出せるものでなく銀行の審査を通った会社のみが振り出せる信用力を持ったものです。
そして手形の種類は約束手形と為替手形の2つあります。ここでは約束手形と為替手形の違いを見ていきましょう。
約束手形と為替手形はどう違うの?
最も違うのは2者間か3者間かの違い
約束手形と為替手形の最も大きな違いは2者間で行う取引なのか3者間で行う取引なのかということ。約束手形は振出人と名宛人の2人の取引となります。一方、為替手形は振出人、名宛人、指図人の3人の取引となります。新たな登場人物である指図人とは支払いを指図する人のことを言います。
約束手形とは?
2者間の取引である約束手形。振出人が手形を名宛人に手形を振り出すことで取引代金の支払いを行うもの。振出人にとってのメリットは支払い期日を延ばすことができる点。しかも金利はかかりません。
約束手形と為替手形とでは利用シーンが違う
約束手形と為替手形の決定的な違いは、為替手形を使った取引では3者間の取引になるということ。したがって3者間の合意を得なければいけないため、どうしても手間取ってしまうことにつながるのです。
為替手形とは?
3者間の取引である為替手形。通常の取引はお金を払う人と受け取る人の登場人物は2人だけですが、為替手形ではお金を払う人とそれを指図する人、そして受け取る人の3役が登場します。
そして、この為替手形での振出人は為替手形を振り出すだけで支払い義務はないのが特徴です。これは振出人に支払い義務がある約束手形とは大きな違いです。
なぜそのような取引をする必要があるのでしょうか?為替手形の種類とともに見ていきましょう。
自己受為替手形
自分が相手から受け取る額の手形を自分で振り出すというもの。これは結果として相手が約束手形を振り出したのと同じ状況となります。特に支払い期日が決まっていない取引でよく利用されるのが特徴。期日が決まっていない場合、相手の都合がつくまで支払いを待ち続ける必要がありますが、手形を振り出すことで、期限が設定されます。つまり、支払い期限を明確にするために利用されるのが、自己受為替手形というわけです。
自己宛為替手形
振出人と支払人が同一人物になるというもの。この手形は遠隔地で、約束手形での取引だと取立手数料がかかるという場合に使われることが多い方法です。例えば大企業で支払いは全て本店で行っているという場合、遠隔地の支払い先に約束手形を出すと取立手数料がかかってしまいます。その無駄をなくすために、振出人は本社、支払人を支払先に近い支店にすることで無駄な取立手数料をかけずに本社が支払いをしたということになるのです。
このように約束手形とは利用するシーンが大きく違うのが為替手形です。
まとめ
ここまで約束手形と為替手形の違いについて見てきました。手形取引のほとんどは約束手形での取引と言っても言い過ぎではありません。為替手形は約束手形に比べるちょっと複雑だということもわかりましたね。主には遠隔地間の取引や貿易取引に使われています。約束手形も為替手形も、それぞれに特性とその手形での取引が適したシーンがあり、仕組みを理解することが必要となります。また、どちらの手形にしても誰でもどの会社でも使えるものではありません。ある程度の事業の規模と当座預金を開設できるほどの銀行の信用がないと使えません。