約束手形の紛失・盗難などのトラブルへの対処法
約束手形が何らかのトラブルに遭って手元から無くなってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
今回の記事では、約束手形の紛失・盗難などのトラブルに対する対処法をご紹介します。
手形の紛失・盗難でその権利は無くなるのか?
手形が手元から無くなってしまったときに気になることは、「手形の権利はどうなるのか」ということだと思います。結果を言えば、受取手形が紛失・盗難などのトラブルに遭った場合でも、すぐにその手形の権利を失ってしまうことはありません。
取得者に手形の権利が移行する場合
ただし、紛失された手形を取得した場合や、盗難されたという事情を知らずに手形を受け取った第三者が存在した場合、「手形法の善意取得」に基づいて、その人に手形の権利が渡ってしまうことも。
手形の権利が第三者に渡った場合は、当然、元々の所有者であった人の手形上の権利は失われます。
更に、手形の盗難に遭い、手形を入手した人が手形金を受け取ってしまった場合も、元々の所有者の手形上の権利は無くなってしまうので、やはり紛失・盗難には細心の注意を払うべきでしょう。
紛失・盗難の際にまず行いたい対処法
紛失・盗難などのトラブルがあった場合は、手形上の権利が消滅してしまう前に、まずは手形金の支払いを止める必要があります。その後、事故届、被害届、公示催告手続きなどを行います。
支払いを止めるための事故届提出依頼
手形金の支払いを止めるためには、まずは振出人に紛失・盗難などの事実を伝え、「事故届」を出してもらわなければなりません。事故届は決済銀行に提出するもので、この届を出しておけば、銀行は手形金の決済を行えなくなります。
もし、振出人が事故届の提出をしない場合は、決済金融機関に紛失・盗難があったということを伝えておくことが大切です。決済金融機関に知らせることで、金融機関には一定の注意義務が発生し、万が一手形が交換に回った場合でも、支払いが行われなくなる可能性があります。
支払いを受けるために公示催告手続きが必要
金融機関に紛失・盗難があったことを伝えた後は、警察に被害届を出しましょう。手形の支払いを受けるためには、手形を持っていなければいけません。紛失・盗難などで手元に手形がない場合、支払いを受けるためには裁判所で公示催告手続きをし、「除権判決」を受ける必要があるためです。
公示催告では、手形を取得した人に対して、取得した手形を提出するように催告を行います。そして、期限内に提出されなかった場合に、除権判決によって手形の効力を無効化し、元々の所有者が支払いを受けることができるようになるものです。
手形の紛失・盗難に備えてしておきたいこと
紛失・盗難などのトラブルに遭った場合、すぐに手形上の権利がなくなることはありませんが、振出人に対する事故届の依頼、裁判所での手続き、被害届の提出など、様々な手続きをしなければならなくなります。
そこで、このようなトラブルに備えるためにも、手形割引を利用することがおすすめです。手形割引を利用すれば、決済日前に手形を現金化することができ、紛失・盗難のリスクを大幅に軽減することができます。
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