手形割引の専門用語について
手形取引を初めて行う際に、専門用語が多く戸惑った方も多いと思います。そこで手形取引でよく使用される専門用語について解説します。
あ行
・違約金
債務者が債務不履行になった際に、前もって債権者に支払うことを決めていたお金のことです。
・依頼返却
手形所所持人から取立に出した手形を、支払い銀行などの支払わなくてよいと手形の返却を依頼することを指します。依頼するので不渡り処分にはなりません。
・受取人
手形の振出人から手形を受け取る人のことを指します。約束手形用紙の左上の欄に記載された人です。ただし受取人の記載が無い手形も有効となります。
・受取手形
支払い期日がきたら、額面に書かれた金額を受け取る権利があることを示す手形のことです。
・裏書
手形を他人に譲渡することです。裏書を行う際には、裏書人欄に署名捺印し、被裏書人欄に譲渡する相手(法人・個人)の名称を記入します。
・裏書人
手形を裏書して他人に譲渡する人のことをさします。裏書人から手形を受け取る人を被裏書人といいます。
・裏書人の義務
裏書した手形が万が一不渡りになった際、手形金の支払い義務は裏書人本人が負います。手形所持人は全ての裏書人に支払を請求することができます。また支払をした裏書人は、自分より前の裏書人に請求可能です。
・裏書きの連続
受取人から最後の被裏書人に至るまで、各裏書きが連続していることを指します。
・裏書きの抹消
被裏書きに自社の名前が入っている手形を裏書人に戻す時には必ず抹消して返還します。抹消する時には裏書欄全体にパツ印を入れ、その真ん中に印鑑を押印します。
・裏書禁止手形
手形に印刷された指図人の文句を削除し、裏書譲渡できなくなった手形のことです。裏書譲渡はできなくなりますが、指名債権と同じように譲渡は可能です。
・売掛金
企業間の取引における売上未収金のことを指します。基本的に近い将来に現金の受取・支払があることを前提としています。
・売掛債権
商品やサービスを販売したのに、まだ代金を受け取っていない時に請求できる権利のことをいいます。
・延滞
約定支払期日に約定額が遅れている狀態のことです。履行延滞ともいいます。
か行
・貸金業協会
各都道府県に1ヶ所設立されている公益法人です。貸金業務の従事者への指導や研修などを行っています。
・為替
現金以外で決済する方法の総称です。代表的なものに有価証券があります。現金送付はリスクがあるため、遠隔地への送金手段としてよく利用されます。
・為替手形
受取人に対する支払いを第三者に委託できる金銭支払委託証券のことを指します。振出人は手形金を支払わず、支払人に支払いを受託します。
・仮差押え
裁判が確定している差押の場合、仮差押・仮処分として債権を保全することができます。
・仮執行宣言
民事訴訟において判決が確定する前に支払の請求を認めることです。
・仮処分
金銭債権以外に係争対象となっているものが合った場合、その物件の保全や権利に狩りの地位を決定するために行われる処分です。
・偽造手形
偽造の社判・印鑑の使用し、なりすまして降り出した手形のことです。
・供託
提供寄託のこと。金銭や有価証券などを法務局などの供託所や、その他のものに寄託することをいいます。
・共同振出
複数で手形を振り出すことをいいます。全員が手形の振出人とみなされ、万が一不渡りになれば全員が処分を受けることになります。
・拒絶証書
手形・小切手の引受または支払が拒否された場合、その旨を照明するために作成される公正証書のことを指します。
・拒絶証書不要
手形の裏書欄に記載してある文言です。手形所持人が拒絶証書なしで満期になった場合、裏書人に支払を請求できます。
・強制執行
債権者が支払をしない場合、民事執行法によって強制的に債権者の財産を差し押さえることのできる制度のことを指します。
・公示勧告
手形が盗難されたり、紛失した場合、裁判所で除権判決を得るために、手形所持人に一定期間内に届け出を求めることです。もし期間内に行わない場合は無効になります。
・小切手
持ち主に対して、振出人の預貯金口座から支払う有価証券のことを指します。
さ行
・債権
債権者が債務者に対して請求する権利のことです。
・債権譲渡
債権を内容を替えずに他人に譲渡することを言います。
・債務超過
債務者に負債の総額が資産の総額を超えてしまうことです。
・債務不履行
債務者が正当な理由なく履行しないことを指します。期限を過ぎても履行しないことを履行遅滞、履行が不能な場合は履行不能、不完全な履行を行った場合は不完全履行といいます。
・先日付小切手
特定の日付を振出日として小切手です。振出日が将来の日付であっても有効です。
・差押
国が債務者に対して財産の処分を禁じることです。
・時効
法律で定められた期間がすぎると権利が無くなることを指します。手形金の請求の場合は、振出人は手形の満期日から3年、裏書人は1年が時効となります。
・支払人
手形の支払い義務をを負っている人のことです。振出人が指定します。
・支払い猶予
手形の満期日までに資金が用意できない場合、振出人が裏書人同意の上で、手形期日を書き換える。または新たな手形を振り出すことです。
・商業手形
商取引において振出された手形のことです。
・白地手形
手形要件に記載されてない部分のある手形のことです。銀行で取り立てる際には全ての項目が記載されているのが条件です。
・線引小切手
小切手の表面の右上に2本の線が引かれている小切手のことを指します。この小切手を呈示された銀行は、他の銀行や自行の取引先のみに小切手金を支払うことができます。
た行
・台風手形
台風の襲来日(210日)のように支払期日が長い手形のことを言います。
・単名手形
受取人が空欄の約束手形のことです。自己手形ともいいます。企業が借入を行う際に、銀行などに振り出す場合に使用します。
・つなぎ融資
本来の融資が受けられるまで受け取る融資のことです。
・手形交換所
各地の金融機関が依頼された手形と小切手を持ち込み、交換呈示する場所です。
・手形訴訟
手形を呈示しても支払ってもらえない場合に、振出人と裏書人に対して訴訟を起こすことができます。それを手形訴訟といい、簡単な手続きで済み、短期間で判決を受けられます。また強制執行することも可能です。
・手形交換制度
地域内の金融機関が、手形や小切手を手形交換所に持ち込んで集中的に交換決済する制度を指します。
・手形用法
手形を振出すさいに手形要件の記入方法や訂正方法などを細かく定めたものです。
・手形割引
受取手形を金融機関に依頼して、手形の満期が来る前に換金するように依頼することです。
・統一手形用紙
金融機関で統一された手形用紙のことです。
・取引停止処分
6ヶ月の間に2回、振り出した手形が決済されず不渡りを出した場合には、取引停止処分となります。
な行
・内容証明郵便
「いつ、誰が、誰宛に、どんな内容で」手紙を出したのか郵便局が公的に証明してくれるというものです。
・任意売却
債権者と債務者が合意のもと不動産を売却することです。
・ノンバンク
銀行以外の金融機関のことを指します。
は行
・被裏書人
手形を裏書人から譲り受ける人のことです。
・引受人
支払人ともいいます。振出人から支払人の指定を受け、引受人の欄に記名するので引受人と呼ばれます。
・振出人
受取人に手形を交付する人です。手形の振出人の欄に記名捺印します。
・振出日
振出人が手形を振り出した日付のことです。空欄でも振り出すことは可能ですが、銀行へ支払いの呈示をする際には必ず記入が必要となります。
・不渡り
支払い銀行から手形の支払いを拒否されたり、支払い期日をすぎても額面金額が支払われない状態のことです。
・不渡り事由
不渡りになる理由のことで、3つあります。「0号不渡り」は、手形の裏書・形式不備、呈示期間を守っていないなどです。「1号不渡り」は資金不足など振出人の一方的な責任によるものです。「2号不渡り」は契約不履行、詐欺、盗難、紛失などにより、振出人が支払を拒否した場合です。
・不渡り処分
6か月の間に2回の不渡りを出すと、銀行取引停止処分になります。1回目の不渡りから、6ヶ月を経過すると前回の不渡りの効力はなくなります。
・変造手形
手形の記載事項が権限のない人物によって変更された手形のことです。
・補箋
裏書専用の紙のことです。裏書人が多く、裏書人の欄に書けなくなった際に、この補箋を使用して書き入れます。継ぎ目に裏書人の割印が必要となります。
ま行
・マル専手形
個人が銀行に当座預金口座を開設し、分割支払回数分の手形を振り出すことです。手形の裏にマル専マークが印刷されていることからこう呼ばれています。近年ではクレジットやローンが一般的で、あまり使用されることが無くなりました。
・回し手形
手形を所持している人が裏書譲渡し、被裏書人に回した手形の俗称のことを指します。受け取る側からは「渡り手形」とも呼ばれています。
・民事再生
経営破綻のおそれがある時にとる法的再建手続きです。裁判所によって監督委員が船員されます。
・無担保
融資の際に担保を提供しない、担保を取らないことです。
や行・わ行
・約束手形
手形の振出人が受取人に対して額面金額を支払うことを約束するための有価証券のことです。
・有価証券
保有・譲渡することで、財産権が移転する紙券の総称です。手形や小切手などはこの有価証券に含まれます。
・融通手形
資金を融通するために、商業手形と見せかけて振り出される手形のことです。振出人と受取人が馴れ合いで発行するため「馴れ合い手形」とも呼ばれています。
・与信管理
「売上債権」を管理することです。取引先が倒産するリスクの軽減などを行うことができます。
・利息制限法
一定の利率を超える利息を制限する法律です。高利の取締りを目的として昭和29年に制定されました。
・累損
企業が決算で計上した損失額を累計したものです。
・連帯債務
数人の債務者が同一の債務について責任の負う債務のことです。
・連帯保証人
債務者と一緒に債務を負担することを約束した保証人のことです。連帯保証人は保証人と異なり、債務者より先に連帯保証人に請求することもできます。
・割引手形
手形割引によって現金化して手形のことです。
まとめ
手形割引を行う際には多くの専門用語を使用したり、見たりする機会があるかと思います。こちらでチェックし、参考にしてみてください。